遺言書作成
2018年12月8日
遺言書を書いておくことでご自身の希望を叶え、また、いざ相続開始となったときに争いを出来るだけ起こらないようにします。
- 書く内容を決める
- 財産目録を作る
- 遺言書の種類を選んで作成する
- 保管する
- 作り直す
1.書く内容を決める
まずやるべきことは、何を遺言書に書くかを決めることです。 自分の死後はこういうことをしてほしいなどの希望や伝えたい事、ご自身の気持ちなど箇条書きで出しておきます。
2.財産目録を作る
土地、建物、車、預貯金、株などの財産をリストアップします。マイナスの財産も相続財産です。忘れずにリストに入れてください。 もし、ご家族の知らない借金などをお持ちの方は、遺言書にも書かず相続人の誰も知らないままにするのはトラブルのもとになってしまいます。
リストアップをしたら「誰に」「何を」を決めていきます。 法定通りに相続してほしい場合は考えなくてもいいのですが、財産目録は相続開始後にどういった財産があるのかを相続人に知らせるためにあったほうが良いです。
出来るだけ公平になるように決めた方が争いが起こらずに済みますが、なかなかそういかないこともあるかもしれません。
相続人間で差をつける理由
- 長男は大学まで出したが次男は高卒だから少し多めにしてやりたい
- 長女より次女の方が親の面倒を見てくれるから少し財産を多く残してやろう
- 長男は問題を起こして迷惑ばかりかけたから他の兄弟より相続財産を減らそう
- 事業を長男に継いでほしいから事業用資産はすべて長男に相続させたい
など理由は様々あると思いますが、相続人間で差をつける場合には理由を明記した方が相続人も納得しやすくなります。 極端に差をつけすぎると「遺留分減殺請求」で遺言書通りにならないこともあるので注意が必要です。
3.遺言書の種類を選んで作成する
遺言書の種類は3種類です。
- 公正証書遺言
- 作成した遺言書の文案を公証役場で正式な公正証書として作成・保管する方法
- 自筆証書遺言
- 全文直筆で作成し、保管も自身で行う方法
- 秘密証書遺言
- 内容を一切秘密にして遺言書の存在だけを公証役場で証明してもらう方法
公正証書遺言
ご自身で決めた内容を公証人が聞き取って作成する方法です。
公証人が文案を作成したら証人2名と内容に間違いがないか確認して間違いなければ署名押印をして完成です。
証人は利害関係人、未成年者はなることができません。
証人を依頼できる方がいない場合には公証役場で手配してくれます。
メリット
- 公証人が確認するので内容の不備を最小限にできる
- 公証役場に保管されるため紛失・滅失・改ざん等のリスクを回避できる
- 検認手続が不要
デメリット
- 作成に手数料がかかる
- 作り直しに手間がかかる
- 証人が2名必要
自筆証書遺言
すべてご自身の直筆で作成する方法です。
自筆証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所で検認手続をとらなければなりません。 全文直筆かどうか、日付があるか、署名押印があるかを確認されます。一つでも欠けていると無効になってしまいます。
検認手続は遺言書の内容が有効か無効かを判断するものではなく、遺言書の存在を相続人に知らせ、遺言書の形状・加除訂正の状態・日付・署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。
- 全文→直筆で書く
- 日付→「平成27年4月10日」「2016年5月20日」など具体的に書く
- 署名
- 押印→実印が望ましい
内容についての注意点として、あいまいな表現や読み手によってとらえ方が変わってしまうような書き方はせず、誰がどう読んでも同じ意味で受け取れる書き方にしてください。 せっかく書いた遺言書の内容を巡って相続人間で争いが起きてしまう恐れがあります。
メリット
- 紙とペンだけで作成できるので費用がほぼかからない
- 作り直しが簡単にできる
デメリット
- 紛失・滅失・改ざん等のリスクがある
- 執行時に家庭裁判所の検認手続が必要
- 発見してもらえない可能性がある
秘密証書遺言
遺言の内容を一切秘密にして作成する方法です。
公証役場の手数料がかかります。
秘密証書遺言も相続開始後に家庭裁判所の検認手続が必要です。
この方法の場合、自筆証書遺言のようにすべて直筆で作成する必要はなくパソコン・代筆で構いません。 ただし、署名は直筆でなければいけません。押印も忘れずにして下さい。 署名・押印まで終わったら、封筒に入れて、遺言書に押印した印鑑と同じもので封印をします。
次に、この封書をもって証人2名と公証役場に行きます。 封書を提示し、自己の遺言書であること、氏名・住所を申述します。 申述内容を公証人がその封書に記載します。そして、遺言者と証人が署名押印して完成です。 完成した遺言書は遺言者自身で保管することになります。
この方法の場合、公証人は遺言書の存在を証明するだけです。内容を確認しないので万が一遺言書として無効になってしまうような不備があってもわかりません。 封印をする前の確認が重要です。
メリット
- 内容を一切秘密にできる
- 署名以外は直筆でなくていい
デメリット
- 公証役場で手数料がかかる
- 紛失・滅失のリスクがある
- 執行時に家庭裁判所の検認手続が必要
- 無効になってしまう恐れがある
4.保管する
公正証書遺言場合には原本が公証役場に保管されるため特に心配ありませんが、自筆証書遺言・秘密証書遺言は気をつけて保管しなければなりません。
紛失・滅失・改ざん等を防ぐために厳重に保管しなければならないものですが、厳重にしすぎて「見つからない」なんてことでは意味がありません。
配偶者または信頼できる友人など誰かに遺言書の存在を知らせておくと安心です。
5.作り直し
作り直しは何度でも可能です。 遺言書は形式を問わず要件を満たしていれば日付の一番新しいものが有効な遺言書とされます。
公正証書で作ったからまた公正証書でないと作り直せないなどといったことはありませんので、現状でご自身が一番良いと思う形式を検討・選択してください。
当事務所では、文案の作成、ご自身で作成された遺言書が要件を満たしているかの確認、公正証書遺言を作成する際の手続を承ります。
当事務所では安全性・確実性などのメリットを重視して公正証書遺言の作成をおすすめしています。
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